コチラの記事は、2~3人で取り組める練習方法を紹介していきます。
1人で取り組む練習方法は別記事にてまとめてありますので、見てみてください。
スカッシュの「練習」について
スカッシュをプレイしている皆さんで、思うように上達しないなあ、と感じている方。
練習方法を考えて取り組んでいますか?
試合形式でのラリー練習はもちろん大切ですが、「ただ打つだけ」になってはいませんか?
スカッシュのラリーは、ルールから外れなければ、好きなショットを打つことが許されています。
その結果、ただ正面の壁に返すだけ、ただ強く打つだけ、ただ低いところを狙うだけ、ただ打ちやすいクロスを打つだけ、になってしまっていませんか?
もちろん、これらの選択が間違いである、というわけではありません。好きなショットを好きなだけ打つことは、とっても楽しいからです。
しかし、「上達したい」と考えている方は、これだけでは成長のスピードが遅くなってしまいます。できないことにチャレンジしない結果、できないままになってしまうからです。
スカッシュの「上達」について
では、どうなったらスカッシュが「上達」したといえるのでしょうか?
ここでは、「上達」したスカッシュプレイヤーを、「大会で勝ち上がっていける人、優勝する人」とします。つまり、「上達」するためには、大会で勝ち上がることを考えていくことになります。「上達」するために必要なものをそろえていくことを「練習」するのが成長の近道とします。
では、何を練習するといいのでしょうか?それを以下の2点と仮定します。
- ショット
スカッシュで必要なのは、相手がとりづらいところにボールを打つ、ショットコントロールです。相手の位置や苦手なコースなども考慮しながら、都度、最適なショットを選択していくわけですが、そのためには、いつ、どんな時でも好きなところにボールを打つ能力が必要です。
対戦相手も基本的には、同じことを考えています。相手がどんなところにボールを打ち返してきても、そこに追いつく瞬発力、体力、さらにショットを打つ筋力も必要です。
- 戦術
上記を踏まえて、相手に対してどのようなショットを打って、どのように対応していくかを考えるのが、戦術です。自分にとって有利な状況を作るためには、どのようなショット選択をするのが良いかを常に考えることが必要です。常に変化する状況に合わせて、判断を下し決断する能力が必要です。
以上の2点を、「無意識レベルで高速で行えること」が上達に必須の項目と仮定します。もちろん、この要素以外にもたくさんあるとは思いますが、とりあえずの仮定です。それぞれの項目について、具体的にはどのようになっていくかを見ていきましょう。
練習方法
ここでは、上達に向けて3種類の練習方法のカテゴリ―と、その一例をご紹介していきたいと思います。それぞれ、ラリー中に行われるシチュエーションの一部を切り取った形で想定しています。
①→③と徐々にラリーに近づいていくイメージです。
①フィード(球出し)
1人が球出し、もう一人が特定のショット練習を行う練習方法です。
サポート側と練習側に分かれて行います。レッスン形式とも言えますね。
フィードを受ける側と、行う側に分かれますが、行う側のコントロールの上達も見込めます。
効率よく練習するには、フィード側のコントロールが問われますが、たくさんボールを使って、手で投げてフィードを行うなどの工夫をすると、初心者同士でも特定のショットを反復練習することができます。
慣れてきたら、フォアハンドストレートドライブ→バックハンドクロスコートドライブのように、続けて違う球をフィードしていくことで、徐々に実践に近づけていきます。
初心者お勧めのフィード練習。
フィード→ストレート(フォア、バック)
- フィード側はボールを落とす場所や、高さをコントロールする。壁際にフィードを行うのか、高さはどのくらいか。あらかじめフィードを受ける側と話し合っておくとよい。
- フィードする側は、前壁のどこに当てて、床のどの範囲にボールを落とすように狙うかを、決めてコントロールする。
- *ただ、何となくフィードするのではなく、明確に目標を決めることが、効率よく練習するためには欠かせない。中級者はフィード側がボレーでフィードできれば○
- 3分~5分ずつ交代で行う。
手でフィード→ボレー(フォア、バック)
- コートの壁側からTに向かってショット側の頭の高さ程度に手でフィード。
- たくさんボールがあれば、使い切るまでボレーでストレートを狙う。
- 横からが慣れてきたら、Tより前から斜めに投げる。
②パターン練習 2人以上
お互いに決められたところに、決められたショットを打ち続けることで、ラリー中に頻繁に起こるシチュエーション下でのショットコントロールを身につけます。
スカッシュの基本の殆どが身につけられます。最初に意識するのは、「成立させること」お互いがミスしすぎてしまっては効率が上がりません。
「自分がコントロールできる範囲」を自覚し、繰り返し行うことでコントロールできる範囲を広げていきます。(狙う範囲を狭めるとも言えます)
慣れてきたら、ショットスピードを上げ、より素早く行うことで上達していきます。
*Tポジションについて
スカッシュにおける練習は、フットワークの練習も必須です。
パターン練習からは、よりフットワークの意識が重要になってきます。
Tポジションとは、コートの床中央付近のことを指し、相手の邪魔をせずラリーを有利に進めるために、ショット後に必ず戻りたい場所のことです。
あくまで、有利に進めるために戻る場所なので、Tに戻ったために相手の邪魔をしてしまった場合、相手に点数を奪われてしまう場合もあります。
パターン練習は、いかに相手の邪魔をせずにスムーズにTポジションを取るか、というフットワークの反復にもなっています。
初心者お勧めのパターン練習
ストレート×ストレート
- ひたすらお互いにストレートを打ち合う。
- ラリー中に起こりやすいシチュエーションなので、練習は欠かせない。
- この練習を行うときは、ボールを落とす範囲を設定して行い、なるべく狙う。範囲をアウトしても基本的には続けて練習するのが効率がいいが、危険な場合は止める。
ボースト×ストレート
- 一人はひたすらストレート。それをもう一人あるいは後ろ二人がボースト。
- 3人でローテーションを組むこともできる。パターン練習の基本中の基本。
- ボースト側、ストレート側ともに、どこに1バウンド目、あるいは2バウンド目が来るように打つか。を考えてコントロールできるように練習するのが良い。
ボースト×クロス×ストレート
- これだけやっててもどんどん上達する、スカッシュの様々な要素が含まれた練習。
- お互いの位置が入れ替わりながら、この順番になるようにショットを打っていく。
- 2人のショットの順番はこの順番だが、自分が行う行動順は、「ストレートを打ったらボーストが来たので、クロスで返球したらストレートで返されたので、下がってボーストで返したところ、クロスが来たので、ストレートで返した。」となるので、「ストレート→クロス→ボースト」となる。
- わかりやすい点はパターン練習初心者にお勧めだが、成立させるのはかなり難しい。特に、「クロスをストレートで返球する」というのが難しい。ボレーで返さなければストレートで返球することが難しいクロスもあるので、ボレーするか、下がって1バウンドさせてから返すか、など、一瞬の判断力が必要。
このほかにも、「ボースト×ストレート×ストレート」や、「ボースト×ドロップ×ストレート」など、無限に球数を増やしていけるので、自分たちに必要だと思うシチュエーションを作って練習するといいです。
ショット数が増えると混乱しがちですが、それもまた、「次のシチュエーションを想像しながらプレイする練習」に繋がります。
スカッシュは、次のプレイを常に考えながら行うので、練習の際も「頭を使うのをやめないこと」が効率を上げます。
③制限付きラリー練習
パターン練習と同様、お互いに決められたところに、決められたショットを打ち続ける練習ですが、パターン練習と違い、ある程度ショットの選択を行えます。素早くショットを選択する練習にもなってきます。
相手が後ろにいるからドロップ、Tポジションに相手がいるので、奪うために奥の角にストレート、相手がそう予想してるだろう、とあえて逆をつく、などなどありますが、なぜ、その選択をしたのか?が重要です。
相手がどんなショットを打ってくるか、を予想する必要もでてきます。車の免許を取った方は知っていると思いますが、次にどんなことが起こりうるかを想像する、「かもしれない運転」が必要になってきます。
ただし、相手の行動を決め付けすぎると、逆を突かれてしまうかもしれません。どんなショットが来ても対応できるよう、状況をよく見て準備しておきましょう。
代表的な制限付きラリー
縦1/2ラリー
- 二人でひたすらストレートorドロップ。
- 狙う範囲を決めるといい。
- ボレーが必要な場面や、バックウォールからのバウンドを待つか、待たないかの判断や、コンパクトなスイングが必要になるため、やや難しい。
- ストレートの速さや、長さも変えられる。あえて短く、バウンドの速いストレート、ゆっくりと山なりに後ろまで伸びるストレート(ロブ)もある。
- 「バックウォールに当たったボールはボーストしてもよい」、「ボレーでなら、ドロップ、ボーストを打ってもよい」などの条件を付けると、さらに実践的になっていく。条件付けはいろいろと増やしていける。
3/4ラリー
- コート床の、フォア後ろ側、あるいはバック後ろ側に打ってはいけない、という条件下で行うラリー。
- ある程度コースが限られるので、考えなくてはならないことが整理しやすい。
後ろ1/2ラリー
- 必ず、ハーフラインよりも後ろに返す。
- クロスも打てるのでボレーで奥に打つ技術がないと難しい。
- ボレーなら、ドロップで落としてもよいなど、条件を増やすこともできる。
これらの練習を行うことにより、ショットの精度とショット選択の判断力やスピードを上げることができます。
また、相手がこのショットを打ってきたら、このショットで返す、など、あらかじめ「やること」が決めやすくなります。セオリーを覚えることができる、と言い換えることもできますね。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
皆様のスカッシュライフに少しでもお役に立てれば幸いです。
また、これらの練習は、とりあえずやってみる。というのが大事です。
とりあえずやって見た結果、いや、まだこの練習をするのは早い。これができるようになってから、とストイックに一つ一つクリアしていくもよし、毎日違う練習を取り入れてみるもよし。色々な角度からこのスポーツを見てみてください。文字通り、角度が大事なスポーツです。とりあえずやって見て、どれだけ発見できるか、が上達に繋がります。
皆さん、スカッシュに取り組む姿勢や、得意なプレイなど、さまざまだと思いますが、どんな風に取り組んでいても、お互いのやりたいことを尊重し、ルールを守ったうえで、いろんなスカッシュ仲間と、楽しく練習を続けてくださいね!
一緒にプレイできる仲間がいる、ということが、何よりの上達への近道です!!