アピールについてさらに学ぼう その②

ルール

アピールについて深堀する記事、第2弾です。今回は「スイングの接触、妨害」についてです。

適切なスイングの定義

まずはルールブックで定義されている、「適切なスイング」のお話です。こう書かれています。「適切なスイングとは、適切なテイクバック、ボールとのインパクト、適切なフォロースルーからなる。ストライカーのテイクバックとフォロースルーは、必要以上に大きくなければ、適切とする」

厳密にこうしてはいけない、と書かれていないので解釈が難しいです。以前の改定前のルールブックにはもう少し詳しく書かれていたのですが、現行ルールではレフリーの判断に委ねられています。自分のプレーヤーとしての経験などでイメージするしかありませんが、必要以上に大きいスイングをしていると判断した場合はどうすればいいのかも解説していきます。

スイングを妨害している場所

上の図1はスイングをする人(Aさん)の適切なスイング範囲を青色の扇状のスペースで表したものです。自分の横までボールを引き寄せて、ワンバウンドしたのをストレートに打とうとしている一番スタンダートなスイングです。大体こういう形をイメージしてもらえればいいと思いますが、ボールを打つ方向や捕球の状況によって形は変わります。

このスイングに対して相手がB、C、D、の位置にいるとスイングを妨害されていることになります。Aさんは可能な限りアピールをしてスイングを止めます。するとレフリーの判定は「ストロークトゥAさん」となり、Aさんに得点が入ります。

アピール出来ずにスイングしてしまい、ラケットが相手に当たるとどうなるかですが、これもスイングを妨害された事には変わりないので基本、「ストロークトゥAさん」でAさんに一点です。ですが当然アピールで得点できた方が安全ですよね。

適切ではないスイング範囲

図2は適切だった青色のスイング範囲に、適切ではない赤色のスイング範囲を足したものです。言葉で説明すると、Aさんのスイングの始まりが必要以上に自分の背面にラケットを倒して始まっていて、振り終わりも過度に背面までラケットが回ってしまっています。

これらの適切ではないスイングをすると、E、Fの位置にいる相手にラケットが当たってしまいますが、ここでAさんは「ラケットが当たりそう」と思ってスイングを止めてアピールをしても、「適切なスイング範囲は妨害されていない」という事でノーレット、相手の得点になります(妨害されていないのに勝手にプレーをやめてしまったから)。

もしE、Fの位置にいる相手にラケットをぶつけながらスイングして、その結果ボールがダウンになったとします。Aさんは「ラケットがぶつかったせいでダウンした」とレフリーにアピールしたとしても、適切なスイングをしていない自分のせいで相手に当たっているだけなので「ノーレット」、自分のボールのダウンがそのままの結果になります。

ではこのボールがダウンせずに入っていたとしたらどうか。これはルールブックに「相手の過度なスイングが、自分の次のボールを取りに行く動作の妨害となっていたのならレットを要求して良い」と書いてあります。ですのでE、Fの位置にいた対戦相手が、「Aさんのラケットが当たってボールを取りに行けなかった」とアピールをすることになり、これは基本レットとなります。

そしてこれらの判定とは別に、レフリーはAさんに適切ではないスイングをしていることに注意(相手に危害を与える危険なプレーとなっているので)を出さなくてはいけません。同じ注意を受けると、相手に一点、相手にゲームの勝利を与える、相手が試合に勝つ、というようにペナルティーのレベルが上がっていってしまいます。※注意(コンダクト)のお話は別記事で取り扱いたいと思います。

スイング範囲からわずかに外側

図3のG、H、Iの位置はAさんの適切なスイング範囲のわずかに外側になります。この位置にいる相手に対してAさんがアピールした場合ですが、判定(考え方)が分かれます。

わずかに外側ですが、レフリーが肉眼で見ていて「スイングしていたら当たっていた可能性もある」と判断するのであれば、レットとなります(もちろん「明らかに当たる」と判断すればストロークトゥAさんです)。

ですが最近のレフリングの傾向として、「打てる場合は可能な限りアピールせずにプレーを続けなくてはいけない」という考えが重視されます。G、Hの位置などは特に、Aさんのラケットが打とうとしているボールより外側に伸びるという事はないので、Aさんは打たなくてはいけません。アピールをしてスイングを止めたとして、この考えのもとであればレフリーはノーレットとします。

しかしGの位置は唯一、Aさんが「ボースト方向に打とうとしたら当たる」という理由でスイングを止めたとしたら、レットにするのが妥当と思われます。レフリーはAさんが本当にボースト方向に打とうとしていたか判断する必要があります。

まずはやっぱりアピールする

スイング範囲の妨害についていろいろ書いてきましたが、そうはいってもまずは「ラケットが当たりそうならプリーズ(アピール)する」を実践してください。

もし試合などで自分がアピールをしてノーレットになってしまっても、その経験からストロークとレット、ノーレットになるラインを見つけていってください。アピールされる側も同じく経験ですが、レフリーを自分がやる時はこの記事の判定基準を覚えておくとかなり助かります。

ちなみに、レフリーに「なぜその判定になったか」を聞くことは基本OKです。あくまで聞くだけなので、議論は出来ません。その時簡単にでもいいのでレフリー側は理由を述べられると信頼性が高まります。「今のはスイングしたらラケット当たるのでストロークです」とか「今のは過度なスイング範囲での接触なのでノーレットです」などが例ですね。 すべては経験ですが、そこに必ず理論を入れると覚えが早くなると思います。

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